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2007年7月

2007年7月22日 (日)

第八話

溶けたアイスクリームの甘い匂いが風に流れる。
少し汚らしさが交じっているような、そんな匂い。

揚げたてのドーナッツを頭に詰め込み、黙々と歩く。
風の中に溶け込むように歩く。

私は風よ、そう、風なのよ。

パラリラパラリラア、と虚しい音を響かせ原動付き自転車が駆け抜ける。
何度も何も無い所で躓きそうになりながら、
少女は道路の隅を歩き続ける。

風になりながら。


つづく

2007年7月17日 (火)

第七話

父親に連れられ、満面の笑みの少女。

犬の横を通り過ぎる。
品種の分からない、何を考えているのかも分からない、
名前も生まれも分からない、綺麗なベージュ色。

少女よりも大きくて、何かを求めているような声で吠え続けた。
飼い犬なのか野良犬なのか、それすらも分からない。

空に向かって吠えている。

次第に遠ざかる犬の鳴き声。
背中で聞きながら、しっかりと手を握る少女。
頭の中はフワフワのドーナッツで満たされている。

分かった、あの犬はドーナッツが食べたいんだわ。
私も同じ気持ちよ。


つづく

2007年7月14日 (土)

第六話

ポタリと落ちた汗。

突然、少女は黒い影に包まれた。
背後に人の気配。

遠くで犬が鳴いている。


つづく

2007年7月12日 (木)

第五話

少女に潰された虫がもう動けなくなった時、
その死骸は彼女の心の中に小さな変化をもたらした。

「何て脆いんだろう」
予想外に単純な構造だった虫に対し、彼女は期待を裏切られた。
あんなに元気に飛び跳ねていたのに。
良く見ればまったく大したことの無い生き物。

好奇心が一気に冷め、冷静に一点を見つめる少女。
額から一滴の汗が零れ落ちる。


つづく

第四話

「ぱいお、ぱいお、ぱあい。ぱいお、ぱいお、ぱあい」

そう言いながら、アンパンマンはジャンプを繰り返した。
両手を挙げ手首を下へ折り返し、
右足の膝をヘソの辺りへ突き上げながら。

「ぱいお、ぱいお、ぱあい。ぱいお、ぱいお、ぱあい」

握り締めた拳と、握り締めたナイフ。
太陽の光が銀色に反射している。


つづく

2007年7月 9日 (月)

第三話

気まずい時間が流れる。
頭上の雲は風に流され、スピードを増して走っている。

遠くの町で、少女が虫を踏み潰したと同時に、
ニヤニヤと詐欺師の様な笑顔を作り、アンパンマンは走り出した。
拳を握り締め。

次の瞬間、バイキンマンの顔面をピシャっと殴りつけた。
口から鼻から、迸る血飛沫。

バイキンマンの目には薄っすらと涙が溜まり、
この世は地獄だと胸を突き刺すような気持ちで流れる雲を仰ぎ見た。

アンパンマンはワナワナと震えながら、
なおも拳を握り締めていた。


つづく

2007年7月 8日 (日)

第二話

「ア、アンパンマンだとっ。お前らは百年前に滅んだはずではなかったのか」

「ふ、ふ、ふはははははははっ」
不敵な笑みを浮かべるアンパンマン。
ズボンの右ポケットから銀色に輝くナイフの様な物を取り出した。
ていうか、ナイフだった。

そして、左手もポケットに突っ込み、何やらゴソゴソとしている。

「あれ、あっれえ、おっかしいなあ。家に置いてきたのかなあ。あっれえ」


つづく

第一話

「だ、誰だてめえ」

「俺は、アンパンマンだ!」


つづく

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