最近のトラックバック

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« あだ名 | トップページ | チクリン »

2007年2月10日 (土)

もくあみ

大きくて苔の生えた壺に水が張ってある。
水面には水草が浮いていて、とても澄んでいる。

得意のステップを踏みながら近づくと、足音にあわせて水面が揺れる。

何か沈んでいるかな、と、覗き込むと、空から赤い水が降ってきた。
赤くて臭い、錆が溶けた様な水。
その水に打たれながらも、壺の中を覗き込む。

中に、人がいた。
全身黄土色で、目が濃い緑で、鼻が無く、鼻の穴だけあって、
髪の毛も疎らで、頭の大きな人の形をした物、が体育座りをしていた。
水に沈みながら。

あっ、と声をあげると、口の中に赤い錆の溶けた水が入ってきたので、
舌の上全体が、苦い失恋の味に包まれ、何だか悲しい。

「おい、君、一緒にダンスを踊らないかい?」と声をかけた。

彼はその声に反応し、仰ぐようにして、私を見た。
目が合った瞬間、空から降り続けている赤い水が止み、
地面に溜まっていた赤い水が、ネバネバと動き、私を風船の様に包み込んだ。

ブワッと密閉される音。

私は、半透明の薄い赤色をした風船に閉じ込められ、
逃げたくなった。

恐くて、自分の行動を後悔し、運の無さを恨み、
「わああああ!ダンス、ダンス、ダンス!ダンシン!」と叫んだ。
風船の中で、籠もった様に響く声、鼓膜が破れた、不思議と痛みを感じない。
耳から、大量の赤い血が流れて、風船の底に溜まった。

目から涙が溢れ、その血を薄めながら、どんどん溜まっていく。
次第に血は薄くなり、天井まで溜まる頃、透明の澄んだ水になった。
少し、しょっぱい。

私は踊った、只管、彼と踊るつもりだったダンスを。
一人で、風船に包まれながら。

風船は形を変え、壺になり、疲れた私は沈んで体育座り。
ああ、そうか、壺の中にいたのは私だったんだ、と微笑んだ。

頭、少し大きくなって。

« あだ名 | トップページ | チクリン »

日記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« あだ名 | トップページ | チクリン »